賃貸 姫路市の情景

あなたは知識と情報を持ち自分の責任において判断を下すことを期待されている。 いわばソニー銀行はデパートの食品売り場の魚屋しか知らなかったあなたをプロの料理人が仕入れにやって来る築地の魚屋に招待するのである。
プロの料理人は自分が必要としている魚の種類や部位を知っていて自分の責任で選んで買っていく。 プロ向けの魚屋では「魚は何かどういうふうに料理するのか」などと質問する客はいない。
そういう質問にいちいち答えるためのスペースや人手がかからないから築地のプロ向けの魚屋はデパートの食品売り場の魚屋よりも安く売ることができる。 またプロ向けの魚屋は魚を買いたくて来た人だけを相手にするから愛敬を振りまく必要がない。
華美なディスプレーや過剰な包装にかかる費用も節約できる。 今まで金融商品はデパートの食品売り場のようなところでしか買うことができなかった。
ソニー銀行は金融を理解しようという意欲とインターネットを操作できる最低限の能力がある人たちに従来の売り場よりもはるかに安く買うことができる手段を提供したのであるネットバブルに浮かれた人々は情報を運ぶことしかできないインターネットが魔法のように価値を生み出すことができるという錯覚に陥ったのだ。 モノを運ぶ必要がない金融はインターネットに馴染みやすい。
カネのやりとりはきわめて無機質な情報のやりとりだからある人の預金残高が増減すればそれだけで完結する。 アメリカでA会社が「オンライン書店」という画期的なビジネスモデルで注目を集めているという話を聞いて当初書籍をデータベース化してパソコンに配布するようなビジネスを想像していた。
そういうはいえないと思ったからである。 調べてみたらインターネットは本を注文するために使われるだけで実際の本は郵便で送られてくるのだという。
どうしてそれが画期的なのかなぜ大騒ぎされるのか何とも奇妙な気がしたものであアマゾンの株価はアメリカ人の読むすべての本がアマゾンを通して買われるようにならない限り説明不能と言われる水準まで買い上げられた。 その株価でアマゾンの株を買った人たちは「近い将来にアメリカから書店が消滅する」ことに大金を賭けているのだという意識はなかったであろう。

本もインターネットも情報を伝えるメディアである。 文章と静止画像という情報は印刷された紙によってもインターネットによってもほぼ同じように伝えることができる。
本とインターネットの違いは紙の束とパソコンのディスプレイという情報を取り出す装置の違いである。 テレビという言葉が動画像と音声から成る情報(テレビ番組)の意に情報そのものと情報を取り出す装置は明確に区別されていない。
そこに本という大昔からある装置を郵送するだけのきわめて原始的なビジネスであるオンライン書店が何か先端的なビジネスだと錯覚された理由がある。 テレビの例でいえばオンライン書店は装置を販売する家電量販店のようなビジネスであるにもかかわらず情報を伝えるビジネスのように錯覚されたのだ。
ネットバブルのころインターネットで本が買えるミルクが買えるそれが大層なことのようにマスメディアが騒ぎ立てた。 今さら言うようなことでもないがインターネットはモノを運ばない。
インターネットが伝えることができるのは情報だけである。 ネットバブルのころしきりにモノを消費する時代から情報を消費する時代になると言われた。

一昔前までは次から次へ消費者の欲望をそそる新しいモノが現れた。 今は私たちの身の回りに当たり前のように存在している電話自動車冷蔵庫テレビエアコンなどである。
そういうモノはxx世紀の半ばまでは影も形もなかった。 その後ごく一部の富裕な人たちだけが手に入れられるようになった。
xx世紀の後半一家に1台からひとりに1台まで普及して買い替え需要しか起こらない。 あまりにも豊かになったのでもはやモノ自体に欲望をそそられることはない。
これからはたとえば「Gが愛用した」というような情報が付加されない限りモノは欲望をそそらないと言われたのである情報は付加されているだけであって人々が消費するのは情報ではなくて結局モノなのである。 Gが愛用しようがしまいがエルメスのハンドバッグはそれ自体に何がしかの価値がある「Gがエルメス製のある型のハンドバッグを愛用した」という情報自体の価値はゼロである。
ほとんどの場合において情報はモノの価値を増すことはできるがそれ自体は無価値である。 ネットバブルに浮かれた人々はそんな単純な事実を忘れ情報を運ぶことしかできないインターネットが魔法のように価値を生み出すことができるという錯覚に陥ったのだ。
文字という新しい技術の力である。 文字は当初きわめて高価であった紙にいちいち人の手で書き写された。
やがて1ページを版木にして印刷する技術さらに活字を組み合わせて印刷する技術が導入されて情報を伝えるコストは飛躍的に安くなった本を1冊作るためにはおそらく書き写すのが一番安い方法である。 印制には版木を作ったり活字を製作したりする初期費用がかかるから本を大量に作って初めて1冊当たりのコストが低下する。
インターネットもすでに相当にパソコンが普及していてかつ長い時間と大な投資が築いた電話網があったからこそ爆発的に普及した。 個人が本やミルクを配送してもらうためにパソコンを買って光ファイバーを家まで引いてインターネットで発注するのはまったく割が合わない。
それまでほとんどの人はきわめて高価な聖書を読むことができなかったからカソリック教会は都合のいい教義を押しつけることができた。 を求める運動である。

宗教改革は活版印刷のおかげで聖書が安くなり誰もが聖書を読めるようになったから可能になった。 今日でも政府はさまざまな経路で入手した情報を一手に握りみずからに都合のいいように編集して発表することができる。
個人には部分は見えても全体は見えない。 ごくわかりやすい例を挙げれば日本の人口を推定できるのは政府だけである。
直接経験したり人から話を聞いたり手紙を読んだりしてパーソナルに入手する情報は私たちが社会全体について考えるための情報の中のごくわずかな割合しか占めない。 しかもあなたの隣人が政治や経済について語ることはたいてい新聞やテレビで聞いたことの不完全な復唱である。
私たちは政府や新聞社やテレピ局などの巨大メディアの編集を通してしか社会を見ることができないのだ。 インターネットは個人が情報を発信することを可能にした。
今まで巨大メデイアに素材となる情報を提供するだけでその素材が巨大メディアにどのように編集されるかについてまったく口を挟めなかった個人がみずから情報を発信できる。 双方向メディアのインターネットは情報の非対称性を解消する。
その意義は当初過大に伝宣伝された。 実際は個人の弱小ホームページと巨大メディアとでは情報の発信力において格段の違いがあるたとえば従来であれば表に出てこなかった官公庁や大企業の不正が容易に露見するようになったのは個人が不特定多数に対して情報を発信できるようになったことの効果であろう。
どんなに弱小であってもすべての個人が情報を発信する力を持つという事実は情報をコントロールしようとする者を強烈に牽制する。 は政府の権力を牽制しうるのである。


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